中小企業で20年、個人として20年、経理業務に携わってきた個人事業主が選ぶ個人事業主向けクラウド会計ソフトのレビューをご紹介します。今回は、三大クラウド会計ソフトと呼ばれる「freee」「マネーフォワード クラウド会計」「弥生の青色申告」について、それぞれのメリット・デメリットを徹底比較し、どれが最適かを考察します
一人で経営する人向けのソフト -『freee(フリー)会計』
初心者でも使いやすい、直感的な操作性が魅力のソフト。
簿記とかの専門的な知識なしで経理ができて、経営分析もちゃんとできます。
メリット
- 初心者向け: 初めて会計ソフトを使う人でも簡単に始められる設計。
- 自動化が優秀: 銀行口座やクレジットカードとの連携がスムーズで、仕訳の自動化が可能。
- 開業サポート: 開業届や青色申告承認申請書を自動作成できる。
- モバイルアプリが使いやすい: 外出先でも経費登録や取引確認が可能。
デメリット
- 高度な機能には限界: 上級者には物足りない部分がある。
- カスタマイズ性が低い: 標準的な操作には向いているが、特殊な仕訳や個別設定が少し不便。
- 月額料金がやや高め: 他のソフトと比べると費用が高いと感じる人も。
経歴20年が実際に使ってみた「感想」
- カスタマイズできないところがガチ勢には不満。
- そうは言いながらもFreeeが本当にフリーだった10年前に比べると格段に使いやすくなってます。
(確かCSVのインポートすらまともにできなかった覚えが…) - 請求書以外の関連ソフトは有料。インボイス対応で年23,760円はちょっと高いか。
- 取引ごとにちゃんとタグで分類分けしておけば、しっかり振り返り分析できます。
- 3つのソフトの中で一番CSVインポートがやりやすかったです。(Excel入力派におすすめ)
以前とは格段に操作性がよくなってますので、Freeeに拒絶反応がある方も今のFreeeを一回試した方がいいですよ。
ちょうどいい感じの経理ソフト -『マネーフォワード クラウド会計』
データ連携と分析機能に優れ、業務全体を効率化できるソフト。
会社経理に携わったことのある方にはちょうどいい感じです。
メリット
- データ連携が幅広い: 銀行、カード、電子マネー、ECプラットフォームなどとの連携が豊富。
- 視覚的なレポート機能: グラフやダッシュボードで収支の状況を把握しやすい。
- 業務一元管理: 請求書作成、給与計算、勤怠管理などの他の機能とスムーズに連携可能。
- 成長性: 個人事業主から法人化後まで利用を続けやすい。
デメリット
- 操作性が少し複雑: 初心者には機能が多すぎて難しいと感じることも。
- 費用対効果のバランス: 全ての機能を使わない場合、コストが高く感じる場合がある。
経歴20年が実際に使ってみた「感想」
- 従業員がいる方、仕訳経験のある方にはこちらをお勧め。税理士もこっちを勧めがちです。
- データ連携を売りにしてますが、結局はオプション。そこに他との違いはありません。
- CSVのインポートや大量データの入力もちゃんとできる、バランスが取れたソフトです。
- インボイス対応プランでレシート読み取り上限が月5枚は実質使えないのと一緒です。
いわゆる「ぽい」会計ソフトです。年15,360円は3つの中で最安。「〇〇したい」という要望を満たしていれば迷わずGOです。
THE・会計ソフトです -『やよいの青色申告オンライン』
経理ソフトの老舗ブランドが提供する安心感と信頼性が魅力。
ガチ勢は基本こちらでいいと思います。
メリット
- シンプルで直感的: 会計ソフトに不慣れな人でもすぐに使える設計。
- コストパフォーマンスが高い: 豊富な機能を有していて、他よりもコスパ良し。
- サポートが充実: 電話サポートやチャットでの対応が手厚い。
- 青色申告に特化: 個人事業主が必要とする基本機能に特化している。
デメリット
- クラウドの弱さ: クラウドソフトとしての進化が他のソフトより遅れ気味。
- モバイル対応が弱い: 外出先での操作性に限界がある。
- 連携の選択肢が少ない: 銀行や他のツールとの連携が限定的。
経歴20年が実際に使ってみた「感想」
- さすが弥生!「一括置き換え」など大量データ入力にやさしい機能も入っています。
- 支出分析は「仕入」と「販管費」を自動で分類。会計目線での分析ができます。
- レシート読み取り機能の精度は他に比べて劣ります。期待しない方がいいかも。
- 初回のCSVインポートが一苦労。一度フォーマットを作ってしまえば。
- 真のガチ勢はサポートなしの年11,330円をどうぞ。通常はサポートあり年18,975円。
Freeeやマネーフォワードとはそもそも視点が違います。5年後、10年後の長期スパンで考えるならこちらを。
『結論』 経理歴20年のプロが選ぶベストな1本は?
・効率を最優先にしたいなら「Freee」です。
起業したての場合は他にもやることがたくさんあると思います。
直感的な操作性と自動化機能が魅力な「freee」を選びましょう。
そして、起業家向けのサービスが豊富なのもありがたいです。
・バランスをとるなら「マネーフォワード クラウド会計」です。
ある程度の会計知識があって、自身でも分析しながら事業を進める小規模事業者なら「マネーフォワードクラウド会計」を選んでください。ゆくゆく税理士にお願いする場合もスムーズです。
・会計の基本機能を使いたいなら「やよいの青色申告」です。
フリーランスの青色申告といえども、しっかり会計ソフトを使って経理をしたい方は「やよいの青色申告」を選んでください。
弥生会計との連動もスムーズで、法人化も見据えた場合はこちらを選んだ方がスムーズです。
無料体験で試すこととは
さて、それぞれの会計ソフトには1ヵ月~1年間の無料体験期間があります。
実際の操作性を試すにあたり、次のようなことを試して下さい。
・1週間、1ヵ月の取引を入力。操作感を確認。
・収益と支出の分析表の見やすさを確認
・請求書の入力と消込。会計ソフトとの連動確認。
・CSVデータでのインポート、エクスポートを確認。
※いずれも体験版では申告作業はできませんのでご注意ください。
スキルパスが会計ソフトの導入をまるっとサポート
スキルパスでは会計ソフトをはじめとしたDXの導入をまるっとサポートしています。
・現在の業務内容をお伺いし、DX化が効果的かをアドバイスします。
・小規模ITツールの導入を支援します。
・ペーパーレス化を支援します。
・従業員の方へのレクチャーをします。
※税務相談はできませんのでご了承ください。
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