「代替ツールの調査と評価」は、現状の課題を解決し、かつコストを抑えられるITツールを見つけ出すステップです。ただし、単純に「安ければよい」というものではありません。中小企業の現場に合った**“使いやすくて成果の出やすい”**ツールを見極めるために、以下のように進めると効果的です。
✅ 現状のシステムとコストを“棚卸し”する
まず取り組むべきは、現在使っているITの全体像を把握することです。
見落としがちなポイントも含めて、以下をリストアップしましょう。
- 利用中の業務システムやクラウドサービス
- ExcelやWordによる従来ソフトによる管理
- 紙の帳票や伝票
- 手作業で行っている業務プロセス
- 各種ライセンス料、人件費、保守契約 など
さらに、現場の担当者にヒアリングし、「何のために・どの部署で・どのくらいの頻度で使っているか」も整理します。
その際、「不満点」や「使いづらさ」といった主観的な意見も貴重な情報源です。
✅ ステップ1|「必要な機能」を明確にする(現状→理想の姿)
まずは、「どんな機能が必要か」「どんな課題を解決したいか」を整理します。
例:プロジェクト管理ツールを見直したい場合
現状の課題:
- 進捗がわからない
- 期日が守られない
- 情報が部署間で共有されていない
必要な機能(=代替ツールに求めるもの)
- タスクの可視化(一覧・カンバン・ガントチャート)
- 担当者・期日設定
- チャットやコメント機能
- モバイル対応
👉「絶対に必要な機能(Must)」と「あると便利な機能(Want)」を区別しておくと、選定しやすくなります。
✅ ステップ2|複数の候補をピックアップ
目的に応じて、3〜5社程度の代替ツール候補を比較します。
比較時には以下のような観点を一覧にまとめると見やすいです。
📝 ツール比較表(例:法人向け会計ソフト)
ツール名 | 月額費用 | 特徴 | 操作性 | サポート体制 | 試用の有無 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
freee | ¥2,980〜 | 会計初心者に優しい | ◎ | チャット+電話 | ○(30日) | シンプルな操作性 |
マネーフォワード | ¥2,980〜 | 会計+給与+経費の一体化 | ◯ | メール+FAQ | ○(30日) | 一元化に向く |
弥生会計Next | ¥3,190〜 | 法人向けに根強い | 〇 | チャット+FAQ | 〇(90日) | 旧環境との互換性あり |
※上記は主観的な要素も入っていますので、あくまで一覧表の作成イメージとしてご活用ください。
✅ ステップ3|無料トライアル or デモを活用する
小規模事業においては「使いやすさ」が最重要です。導入前に以下を確認しましょう:
- 実際に画面を触ってみて「直感的に使えるか」
- 現場のスタッフが「これならやれそう」と感じるか
- 自社の環境(ブラウザ、PCスペック)で問題なく動作するか
👉 トライアル中に確認すべきポイント:
チェック項目 | 具体的内容 |
---|---|
UI・操作性 | マニュアルを見ずに使い始められるか? |
初期設定の手間 | 導入にどれだけ時間・手間がかかるか? |
スマホ対応 | モバイルでも使いやすいか? |
サポート体制 | 困った時にすぐ相談できるか? |
社員の反応 | 「やりやすい」「前よりラク」などの反応は? |
✅ ステップ4|コストと効果を数字で比較する(TCOとROI)
「費用が安いから導入」ではなく、「どれだけコストに見合う効果が出るか」を試算します。
ここでは役に立つ2つの数値をご紹介します。
■ TCO(Total Cost of Ownership)
電子機器やPCソフトといった製品やサービスの購入から廃棄(サービス解約)までにかかる費用の総額=総所有コスト
算出方法: 月額×利用人数×年数+サポート料+教育コスト
■ ROI(Return on Investment)
投資した資本に対して「どれだけの利益を得られたか」を示す割合
算出方法: 時間削減 × 時給換算 – 利用コスト = 利益
✍️ 例:手作業の経費精算に月10時間かかっていた → freeeで半分に
- 月5時間削減 × 時給2,000円 × 12ヶ月 = 年間12万円分の工数削減
- ツール費用 年間3万円 → ROIは約4倍
✅ ステップ5|現場の声を反映して最終判断
評価が終わったら、経営者・現場スタッフの両方の視点を取り入れて判断します。
- 現場の「使いたい」感覚を無視すると、導入しても使われなくなります
- 経営者の「費用対効果」だけで決めると、現場が困って反発することも
👉 現場や一部署でパイロット導入 → 好感触が得られたら全社展開
この「お試し→判断」の流れがリスクを最小限にします。
🎯 まとめ|「自社に合ったツール」を見つける目線
- 「理想の状態」から必要な機能を逆算
- 複数サービスを比較・評価
- 実際に試して、操作性と社内の反応をチェック
- 数字で効果を試算して納得感を持つ
上記4項目の目線から “使いやすくて成果の出やすい” ツールを見極めていきましょう。
「どこから手を付ければいいかわからない」という方には、無料のオンライン相談窓口を用意しています。お気軽にお問合せ下さい。
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