パソコンの紛失・盗難・修理――。
こうしたトラブルのときに「中のデータが見られないようにする」のが、Windows Proに標準搭載されているBitLocker(ビットロッカー)という機能です。
※Windows Homeでは簡易版の「デバイスの暗号化」機能になります。
セキュリティを強化するうえで非常に有効ですが、使い方を誤ると「自分でも開けない金庫」になってしまうことも。
今回は、BitLockerのメリットとデメリットを実務目線で整理してみましょう。
BitLockerとは?(基本の理解)
BitLockerは、Windows Pro/Enterpriseに搭載されているドライブ暗号化機能です。
パソコンの中に保存されているデータを丸ごと暗号化し、本人以外が読み取れない状態にします。
一言で言えば、
「盗まれても、データを見られないようにする金庫の鍵」
です。

BitLockerを使うメリット
① 盗難・紛失時の情報漏えいを防げる
ノートPCや外付けHDDを紛失した場合でも、
BitLockerが有効なら中身のデータは暗号化されており、他人がアクセスできません。
特に個人情報・顧客データを扱う中小企業では、セキュリティ保険のような存在になります。
② Windows標準機能でコストがかからない
BitLockerは追加費用なしで利用可能(Windows 10/11 Pro以上)。
専用ソフトを導入しなくても、企業の情報保護対策として使えます。
③ Microsoftアカウントや社内管理で一元化できる
Microsoftアカウントでサインインしていれば、
回復キー(暗号化解除キー)が自動的にクラウドへバックアップされるようになります。
管理者が複数台のPCをまとめて管理することも可能です。

回復キーがないといざという時に詰みます!
バックアップがちゃんと取れているか必ず確認しましょう。
USBや紙で保存しておくのも安心です。
④ 外部メディアにも対応できる
USBメモリや外付けHDDなどにもBitLocker To Goとして暗号化を適用可能。
外にデータを持ち出す業務にも安心です。

BitLockerを使うデメリット(注意点)
① 回復キーを紛失すると“詰む”
最大の注意点です。
PCが壊れた・再インストールした・SSDを抜き出したなどの際、回復キーが求められます。
キーを控えていないと、自分でもデータを開けなくなります。
→ 対策:必ずMicrosoftアカウント・USB・印刷でバックアップ
② パフォーマンスがわずかに低下する
データを暗号化・復号化しながら処理するため、
古いPCでは動作が少し重くなることがあります。
特にHDDモデルでは体感で分かることも。
(SSDの場合はほぼ問題なし)
③ トラブル対応の難易度が上がる
Windowsが起動しない/パーツを交換したとき、BitLockerの影響で復旧作業が複雑になることがあります。
社内にIT担当がいない場合、「修理に出したのにデータが渡せない」状態になることも。
④ すべてのユーザーが理解していないと混乱する
社員全員がBitLockerの仕組みを知らないまま使っていると、
回復キーの管理や暗号化の有効/無効があいまいになります。
社内ルール化が必要です。

メリット・デメリットまとめ
| 区分 | 内容 | 対策ポイント |
|---|---|---|
| メリット① | 情報漏えいを防ぐ | 紛失・盗難対策に最適 |
| メリット② | 標準搭載でコスト不要 | Proエディションなら無料 |
| メリット③ | アカウント連携管理が可能 | Microsoftアカウントでバックアップ |
| メリット④ | USBメディアも暗号化可能 | BitLocker To Goの活用 |
| デメリット① | 回復キー紛失でデータ喪失 | 必ずバックアップを取る |
| デメリット② | 古いPCで処理が遅くなる | SSD化・PC更新を検討 |
| デメリット③ | トラブル時に復旧が難しい | 管理者・外部ITサポートを設定 |
| デメリット④ | 利用者が理解していない | 社内ルールを整備する |

まとめ:BitLockerは“信頼と危機管理”の両立ツール
BitLockerは、正しく使えば中小企業の情報セキュリティを強化する最強の味方です。
ただし、「設定したら終わり」ではなく、
「回復キーの管理」と「社内共有ルール」があって初めて安心が得られます。
セキュリティは“万能の盾”ではなく、“扱い方次第の道具”です。
自社に合った使い方で、安全に活用していきましょう。
スキルパスからのひとこと
「BitLockerってONにすべき?」「回復キーをどこに保存したらいい?」
スキルパスでは、久喜エリアの個人事業主・小規模事業者を対象に
Windowsのセキュリティ設定やバックアップ管理を
“わかりやすく、現場で使える形”に整えるサポートを行っています。
👉 詳しくはこちら[スキルパス公式サイト]


コメント